ライフ イズ ストレンジ クリア

いやあ、素晴らしい作品だった。時間物と青春モノはよく掛け合わせるが、これはすこぶる出来が良い。
展開追うのは楽しいし、ディテールに凝った景色もきれいで、個性あるキャラの描写が気持ちいい。


等身大の若者の友情、恋愛模様を追っていくだけで楽しいんだわ。
話を進めていくうちにキャラの違った側面が見えてくるのが嬉しい。なんだこいつ、イイヤツじゃん。


キャラだけでなく、風景の描写が見事。寮内の生活感、パーティーの喧騒、暗室の無機質さ。
そして何より終盤の異次元旅行。これには衝撃を受けたわ。凄まじい閉塞感、絶望感、恐怖感。
とにかく演出がずば抜けて上手いんだわ。本当に主人公になって長い間彷彷徨う感覚に陥ったよ。


BGMもまたいいんだわ。この郷愁を誘う感じ。
穏やかな曲が流れる部屋で、ゆっくりと座っていることができるあたり、製作者は理解がありすぎる。
こういうのを尊ぶ感覚って、世界共通なのね。


だがこの作品で最も評価されるものは、作品のテーマ・ストーリーだ。
個人的には町を救うのがトゥルーエンド。
親友と過ごした1周間。時間を戻すことで存在しなかった世界となってしまうが、
彼女たちが交わした友情(=プレイヤーの体験)が消えることはなく、確かに存在するのだと。
人の死は悲しいものだけれど、この作品においては、
何か前に進むような、おだやかで幸せな気持ちになってしまう。この余韻がたまんない。


時間物として見たときも、見事に整合性が取れている。
やたらとクロエが死に瀕するのは、世界の強制力的なヤツだろう。
ネイサンの銃撃から救ったところを基点に、列車、事故、ジェファソンとやたら殺しにかかってくる。
それに抗えば抗うほど、歪みとして動物の死や異常気象が発生しているわけだ。
時間を戻して選択することは出来ても、どうにもままならないことがあるのは、この作品らしさを表している。


まあ一言でいうとさ、青春なんですよ。1周間の、濃密で、心揺さぶる、とても大切な青春。
こういう作品に巡り会えてよかったね。